半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『大人の恐竜図鑑』

オススメ度 70点
ほんのちょっとだけおとなげない度 70点

大人の恐竜図鑑 (ちくま新書)

大人の恐竜図鑑 (ちくま新書)

淡々と恐竜の紹介をしている本。
口絵と文章、の繰り返し。

ちなみに、うちの息子(小5)は廃人級の昆虫好きであり、本当に大人向けの図鑑を沢山もっている。
こういうやつこそ、大人の図鑑といえるだろう。

世界甲虫大図鑑

世界甲虫大図鑑

日本原色カメムシ図鑑

日本原色カメムシ図鑑

(息子の書棚はこういう5000-10000円くらいする図鑑がずらりと並んでいて壮観である。しかもかなりきちんと読んで覚えている)

この本は、まあいうても新書。
別に悪くはないが、おそろしく淡々としすぎているのが気になった。
そういうところが「オトナの」なのか?

しかし、恐竜の世界も、学術的な進歩が著しく、僕が小学生のころの知識は随分アップデートされている。
そういう知識を、淡々と紹介している。淡々としすぎていて凄さが伝わらない本だ。

しかし、ちょいちょいう研究者の紹介もでているのだが、

・19世紀のアメリカ人古生学者レイディー博士である。この人はどしどし新種を報告する人で、そしてしばしば仕事が雑だった。
テキサス大学のインド人研究者、チャタジー博士は良い化石を見つける腕の立つ人だが、化石を実物以上に宣伝してしまう人でもある。
・バッカー博士は70-80年代に恐竜が羽毛を持っていたと唱えた人だ。根拠はかなりずさんといってよく、強引な解釈が多い人だが、同時に魅力的な仮説を提案し、魅力的な絵を描く人でもあった。
・マーシュ博士は19世紀に活躍したアメリカの古生物学者だ。博士はとにかくせっせと恐竜を発掘して報告する人であった。あまり詳しく調べないまま次々に新種だと発表するのである。

など、素人には知り得ない、過去の研究者の「味」を、幾分かの毒舌と共に紹介しているので、現役研究者っぽくてすごくいい。
この部分も淡々とはしているが、いささかの「おとなげなさ」を垣間見れてよかった。