オススメ度 80点
入門書として最適度 100点
- 作者: 野嶋剛
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/05/09
- メディア: 新書
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歴史的経緯も、現在の政治力学からいっても、複雑極まりない台湾についての入門知識の概説。
朝日新聞の記者ということだが、偏向性はあまり感じられず、多様なスタンスをできるだけ平等に書くようにしているように感じられた。
台湾、中国。
民族自決の観点から、一国二制度といわれる中国国民党と共産党との確執。
世代による受け止め方の違い。
民進党から国民党、そして民進党となっている現在の二大政党制となっている台湾の政治の現状と指導者のプロファイルなど、 台湾の過去・現在・未来を総花的に取り上げていて、バランスがいい。
台湾と中国の関係、台湾と日本の関係って、やはりかなり、複雑で曖昧さを含んだものであるなあということを再確認した。
「ここではあなたのお国より、人生がもうちょっと複雑なの」
とある。
日台中は、国と国との関係としてはいささか複雑すぎる。
普通の二国間関係だったら、ラブラブ!、結婚!離婚!みたいなシンプルに考えられるが、
日中台湾の関係性なんて、別れた妻と愛人の関係などに近い。
その中で起こった数々の出来事など、簡単に正邪を判定できないようなものである。
あるいは。
普通の二国間関係が、CとかC7とかだとしたら中国⇔台湾⇔日本の関係は、
C69とかC+11⊿7 とかそういう複雑なコードネームみたいなものかと思った。
そういう複雑の妙を、味わえるかどうかで、台湾の置かれた立場を理解できるかの分かれ目だと思う。
そういう立場に置かれた台湾国民(国民という言い方は、これまた微妙なものではあるが)は不幸か?
いや、日本だって、その成功と発展、敗戦と復興の歴史だって、シンプルなものではない。