半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『レジリエンス入門』

オススメ度 90点
オーバービューとして最適度 100点

中世ドイツの修道士トマス・ア・ケンピスは「われわれは他人が好んで他人が完全であることを求めるが、自分自身の欠点を正そうとはしない」と言いました。


レジリエンスについては、絶対押さえておく本があったと思うけど、これは、それをちょっと横から補強するべき入門書、という体裁。
新書だし。

ストレス(歪み応力)に対して、「その歪みを跳ね返す力」、がレジリエンス。元々は物理用語。
「精神的回復力」「心の弾力性」などと訳される。
レジリエンスとは、「しぶとさ」みたいな言葉から、ややネガティブな印象をとったような感じのもの。

ストレスに対して、柔軟に対応できるかどうかが、社会人にとっては、学業の優秀さとは別に重要で、レジリエンスをきちんともっており、長期的な目標をもっていると、遠いゴールに向かって興味や情熱を失わずに長期間粘り強く努力し続けることができる。

入門なので、前半はレジリエンスに対する概説。基本になるのは エリスのABCDE理論。出来事の解釈に、批判的な解釈を増やして、多面的にみましょう、というもの。レジリエンスの乏しい思考法の例示。

後半には、「レジリエンス増やしましょー」ケーススタディ的な、症例提示を通じて、セルフ・コントロールに触れている。
マインドフルとか、呼吸法なども。

原著にあるような、レジリエンスに対する熱い情熱はないが、淡々とレジリエンスについての観察法と対処法が列挙されている、まさに「レジリエンスってなんやろ?」と思っている人には過不足ない本。


以下、備忘録:
・人生第一の危機は青春時期だが、第二の危機は中年期(ミッドライフ・クライシス)
レジリエンスは「心の自然治癒力
・同じ方向からものをみる能力は反復で強化されるが、他の視点をもてなくなる思考停止に陥る=思考停止。
・視点を増やす練習をしてみよう。
・エリスのABCDE理論(A:Affair/ B: Belief / C: Consequence / D:Dispute / E:Effect )出来事の解釈と行動改変
・感情はコントロールできない(!)が思考と行動をコントロールできる。
・すべての物事は二度つくられる。思考+行動という二つのステップによってつくられる
レジリエンスを弱める考え方(ネガティブ思考・二分化・べき思考、一般化、結論の飛躍、劣等比較、他者評価への依存)(詳細略)
・ポジティブな考えとネガティブな考えは3:1のバランスがよい(バーバラ・フレデリクソン)
・「感謝」の反対は「当たり前」
・「ロバを連れた親子」(省略)
・「完璧主義」対「最善主義」
マルチタスクから、シングルタスク→マインドフル
・人生における天動説と地動説
・Fruitful Monotony(実りある単調)