半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

下流老人

若いうちなら、裸一貫で放り出されても、まあなんとかなる。
けど歳をとったら変化に対してフレキシブルじゃなくなる。

両親の世代をみてもそう思うし、自分もそうだ。
20代と今の自分をくらべると、物事の習得や順応に、時間はかかるし、うまくいかないでいらつく自分を発見する。
この延長線上に老人になった自分がいるわけだから、老人の自分には過大な期待をしない方がよさそうだ。
想定外の事態が生じて、老後の計画は頓挫して途方にくれる可能性はけっこうありそう。

定年前にたてる老後の計画は、そもそもかなり甘めだとでこの本でも指摘されている。そりゃそうで、定年退職する直前の収入は、年功序列制度の恩恵もあり、実際の貢献度よりも額が多い。だから定年前は自己を過大評価しがちであろうと容易に想像がつく。

収入がなくてお金を取り崩していくのは、思ったより早い。
あっという間に資金が底を尽いてしまうのだろう。

自分も外来で高齢の方を少なからず診ているが高齢の方で、金銭的な理由で受診を打ち切る方は時々いる。

私は幸いこういう仕事(医師)をしているので、死ぬ直前まで仕事をさせてもらえると思う。
だから日銭に困ることは、多分ないんじゃないかな。
ただ、それは逆に考えると、死ぬまで馬車馬のように働くってことで、それは憂鬱だね。