『2014年、この漫画が面白かった』的なサイトで取り上げられていたので読んでみた。
調べてみると、「ちひろ」という前作がある。
そちらも実に含蓄が深かった。
「ちひろさん」は弁当屋で働いているおねえさん。
目を惹く風貌であるが、元風俗嬢であることを隠したりしないし、いわゆる世間的な枠組みから自由でもあり、不思議な魅力がある。そして彼女なりの闇もある。
前作「ちひろ」は現役風俗嬢の頃の話。
これはこれで彼女の風変わりな魅力が垣間見れるし、よりあけすけな話。
「最も聖なるものは最も俗なるものの中にある」という昔からの謂いがあるが、それを強く感じさせられる作品。
漫画の技術的なことを言えば、で、歌舞伎の見得のような、構図の決まった力のある絵が随所にあって、はっとさせられる。そのコマだけ、文章だったら鍵カッコでくくられているよう。それで、コマ割りに緩急というか、リズムがある。
そのあたりは『ショムニ』の頃からの作風で、だからこそテレビドラマ化された時に、ああいう演出になったんだろうと思われる。