半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『乱読のセレンディピティ』外山滋比古

乱読のセレンディピティ

乱読のセレンディピティ

名著『知的創造のヒント』『思考の整理学』(これ、70年代と80年代の著作なんですね…)で有名な外山先生の本。Kindleで購入。

外山先生がアカデミックの世界で何をしている人かは実はよく知らないんだけれども、一般向けの本はとても沢山。一世代前の教養主義の時代の人だけれども、ネタ枯れすることもなく旺盛に面白い本を書き続けている。時々読みます。というかまだ生きてらっしゃったんですね。

装丁とかみて割と古典的な作品かと思ってたけどよく見ると2014年刊行!
90歳くらいの時に書かれた本です。淡々とした筆致だからか、あんまりそういう感じがない。大体50歳くらいから歳をとっていないように思える。

本の内容ですが、タイトルに関連したことを一言でいうと、

乱読にもいいことがあるよ。一件関係ない本を短期間で読みあさっていると、落語の3題噺みたいに、面白い話を思いついたりする。
それに乱読って、いけないことのようにみられがちだけど、乱読するにはいろいろなジャンルの本をストレスなく読めることが必要で、読書の基礎体力がないとできないことなんだよ。

と。まあ、わたしも濫読家なので、うんうんそうだねと思いながら読むことしきり。
しかしこれって、ネトウヨの人が自国史観のものしか読まないのと同じで、自分の立ち位置に批判的なものを選んで読まないといけないんじゃ…と思ったりもしました。「本当に楽しい経験は、本では得られない」みたいな内容の本をね。

あと、たとえば『思考の整理学』は文庫で持っているわけですが、今回のこれはKindle。装丁とかも同じシリーズなので、コレクションという意味ではちょっと残念。同じ作者の本を沢山持っている場合に単行本と文庫本が混在する問題というのは以前からあったが、それに電子媒体も加わると、コレクションのラインが結構めんどくさいことになります。まあ、もうそういうことは考えないようにしているわけですけれども。
思考の整理学 (ちくま文庫)
知的創造のヒント (ちくま学芸文庫)
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)