半熟三昧(Half-boiled doctorのアウトプット Blog)

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保坂正康『あの戦争はなんだったのか−大人のための歴史教科書』

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

国家の品格』もそうだが、最近この版型の本に、ベストセラーを狙おうという意志が感じられる。書店の方でも力を入れているのか、この色の新書が平積みになっているのをよく見かける。この本もどうやらそういった匂いがぬぐえず、僕もそれにハマった口であります。

 内容は、太平洋戦争に関する入門書。
 行間も広いし、文字も大きい。なおかつ紙も軽いが厚手なものを使っており、ページ数も少ないのである。このベストセラー志向の新書は、はっきり言って、本としては非常に情報量が少ない。
 内容も、入門書の枠からはずれることなく、総花的な項目の列挙である。いい意味でも、悪い意味でも、筆者のスタンスが見えない程度に薄まった内容であると言える。もっとも、公正さという意味ではこれは必ずしも悪いことではない。「教科書」と銘打っているのも間違いではない。ただし、薄い。正直に言えば、自分にとってはあまり買って為になる本ではなかった。

 自分にとっては「頭のいい人、悪い人の話し方」以来の失敗と思えるチョイスであるが、「平積み」の買わせる力ってやっぱり侮れないと思う。

 確かに、この問題は重要だから、こうして啓発する様な本が出ることには賛成である。太平洋戦争へ至る一連の過程において、我々は贖罪ではなく、もう一度再検討する必要があると思う。ただ単に非武装化しただけでは、過ちを同じ形で犯すことは避けられるかもしれないが、過ちそのものの再発を防ぐことは出来ない。国内での諸問題に対するやたら情緒的な反応などをみる限り、日本人はこの太平洋戦争時の誤りから根本的には脱していないように思えるから。