これを読んで素直に「そうだよな」と思えるかどうかで、自分の心のささくれぶりが推し量れるかもしれない。
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日本の世界幸福度は年々低下傾向ではある。
6つの項目のうち
- 一人あたりGDP(対数)
- 社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
- 健康寿命
- 人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)
- 寛容さ(過去1ヶ月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか)
- 腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)
日本の場合は、社会の寛容さ、社会的支援の充実ぶり、人生の選択の自由度が先進国の中でかなり低いことが原因になっている。
にもかかわらず世界で日本というのは人気、という状況で、「日本まだ大丈夫」と思いたいが、そういう世界にとっても観光としてはいいけど、住みたいわけじゃない、という現実を直視しないといけないよね。
というあとがきは、しごくまっとうなもの。
「それを変えていくには努力しかないぜ」というのが本書の主張。
- 〜してくれない、とか受動的な態度に陥ってはいませんか?
- 自分に対する評価というのは絶対甘くなる(能力というのは他人が評価するもの)
- いい虚栄心をもとう
- 〜してあげよう(ギブの精神)
- 能力のランプに灯りが灯る瞬間を経験した人は、のびる
- 年老いても能力は伸びる
- アリの時代→トンボの時代→人間の時代(成長の段階)
- コミュニケーション能力があっても、仕事に対する情熱がなければ、ただの宝の持ち腐れ
- 「働き方改革」は仕事を悪ととらえている
成功者が後進に語る言葉としては、もっとも穏当なものではないかとは思った。
努力しなきゃいけないぜ、とはいうけれど、別に成功者がブラック労働を賛美する、とかそういうものでもない。
が、こういうのを聞いてくれる素直な若者に届きやすい言葉であり、この本では、世界は変わらないのではないかな?
とも(少し辛口ではあるが)思った。
働き方改革に対してさまざまな問題提起をされているのはいいのだが、働き方改革そのものが今までの職場の価値観との相克である以上、しょうがないのかあなと思ったりもする。
メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への変革期。
そんな中でもすべての時代に通じるのは、個人の成長であるわけで、個人への成長をしたほうがいいよ、と語るこの本は、結局すごくまっとうなことを言っているとは思った。
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なんだろう、読後感が弱いのである。
多分、上品すぎる。
上品なダシの日本料理が、屋台の油ギトギトの料理(Newspicksとかのビジネス本かな笑)に、人気で勝てないような感じ、だろうか。
小津安二郎の映画、みたいな読み味だと思った。
それに違和感を感じるのは多分「死ぬまで」という強めの言葉がタイトルにあるからじゃないかと思う。
halfboileddoc.hatenablog.com
例えば、この本は「死ぬ」という言葉もしっくりくる強めの態度・本文、姿勢。