半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

amazonのすごい会議

問題は、どうやってそういう作法を持ち込むか、だ。

アマゾンがなぜ高い生産性を誇っているのか?
アマゾンにいたことがある人が、アマゾンの意思決定のやりかた(会議やマネジメントの方法)を紹介する、って本。

・パワーポイントは禁止、ナレーティブを用いる
・変革を行うときには背後にある暗黙の前提や価値観を勘案することが大切
・情報伝達が目的の会議は必要ない
・ワンオンワンのコミュニケーションが定期的に行われる
・会議資料は1ページか6ページ
・Tenets(テネッツ)と呼ばれる「信条」も作成する
・会議の入る前と後で変化がなければ意味がない
・責任を明確に。会議にオーナーシップを明記する。
・議事録:「決まったこと」「次回までにやること」「担当者」を記入して
・クイック・アンド・ダーティ(完璧でなくてもいいから、早く)
・オーナーは会議に介入しすぎない
・KPIを重視

なるほど。モンゴル軍がなぜ世界を席巻できたか、というのと同様に、なぜアマゾンが世界有数の企業になったか、というのがわかるね。

しかしこれを、地方のローカルビジネスの中小企業にどこまで敷衍できるか、というのが問題。
アメリカかぶれの二代目ボンボン経営者が、現実を見えないふりして、空気読まずに持ち込む……というのが、もっとも成功しやすいのかも。
しかし「ああ…ねぇ…」と思われるのもなんだかだし、そういう風に無理やり導入したって、身につかないのである。

モンゴル軍も日本上陸、日本征服はかなわなかった。
完璧なアマゾン流を現在の職場風土に持ち込んでも、多分うまくいかない。
(そもそも経営規模が違うと、資料やプランにかかるコストもかわってはくる)
ただまあ、日本人ってこういう外部のものを換骨奪胎(和魂洋才)して取り入れるのが伝統的にうまい。
ブラッシュアップして良い要素を取り入れる、くらいに考えたほうがいいのかもしれない。
いや、そういうことをすると結局競争力の源泉となる要素をクレンジングして、意味のないものになってしまうかも。

そもそも、会議の形だけ変えるとイノベーティブになる保証もない。

アマゾンの場合は職場風土としてネオフィリア(新しいモノに抵抗感がない)の集団だと思うし、中小病院の専門職は、総じてネオフォビアである。また、日本人の組織はトップダウンだけでは動かない。ミドル層のなんとなくの合意形成を必要とするのも確か(この辺は個人の開業医の方がトップダウンの改革はしやすいだろう)無駄に見える会議も、ミドル層の納得のために必要…なんてこともある。