オススメ度 70点
ラノベらしさ度 100点
- 作者: 喜友名トト
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短期記憶力を無くしてしまった男が、頑張って小説を書く話。
ひとことで言えば、そういうことになる。
ライトノベルと、非ライトノベルの差が僕にはよくわからない。
まあ、純文学と通俗小説の差もわからないので、どうでもいいっちゃあいいのだが。
短期記憶力を無くしてしまった、というシチュエーションには先行する作品がたくさんある。
「博士の愛した数式」小川洋子
自他共に認める天才数学者であった博士は80分間しか記憶が維持できない。博士はその中で生活をやりくりするために、服にメモをあちこち貼り付けて生活している。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
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「メメント」
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短期記憶力だけの障害ではないのですが、記憶障害で人生が限定される恐怖という意味では、共通点が多いように思う。
この小説は、こうした先行作品があり「記憶障害」はそれなりに手垢のついたジャンルではある。
というわけで、駆け出しの小説家の主人公が、事故かなんかで、1日しか記憶が保持できない、という設定になっている。
確かに、海馬による記憶のインデックス化と定着は、睡眠時に脳の中で行われているので、海馬がやられてしまうと1日以上の中長期の記憶に支障をきたす、ということは十分ありうる話で、まあまあのリアリティがある。*1
1日の呪縛から逃れられないという意味では、むしろ「記憶障害」よりは、北村薫「ターン」に読み味は近い。
- 作者: 北村薫
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1日の枠に限定されると、交流の多い生活というのはなかなか難しいと思うが、主人公は結構うまく適応して、なんなら新作の小説を書いてさえいる。
IT化のご時世、行動規範はPCに入れることで、確かになんとかなる。Society 5.0万々歳だ。
恋愛模様もあり、限定された状態での創作、そして挫折、そして大逆転。
いい話だった。ちょっと出来過ぎだろうなという気もするが。
というわけで、冒頭の疑問に戻るわけである。
ライトノベルと、非ライトノベルの差が僕にはよくわからない。
昔だったら普通にいい話だな、って老若男女に売れそうな気もする。
では、装丁とか、見てくれなのか?でも最近は昔の純文学の作品だって、ちょっとライトノベル風の装丁にして売られていたりもする。
まあ、どうでもいいのかもしれないが。
(ジャンルとかインデックスにこだわるのは、旧世代の悪い癖だ。
「こんなのジャズじゃない!」とかね(笑))