半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

地球の長い午後

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

古典SFを旅先で読む企画。東京出張からの帰りの新幹線で読んだ。
よく眠れた。
あっ、感想が終わってしまった(苦笑)。

 超新星化した太陽によりそう終末期の地球。その生態系がどうなっているか、というのが舞台の小説。
小説には、場の設定に凝っているものと、プロッティングに凝ったものがありますが、この小説はまぎれもなく前者。(後者は例えば伊坂幸太郎。舞台はだいたい仙台=普通の世界)

 作られたのは1977年ですから、その後のこの手の小説のひながたを生み出したという意味では大変斬新だと思う。強弁すれば、ナウシカとかもこの設定の影響を受けているよ、とか言えるっちゃあ言える。
 ただ、今の時代に読むと、どうしてもライトノベル的な感じがしてしまうのもしようがないところ。
 あと、場に凝っている小説はプロットはそれほど凝れないという(両方とも凝った作品というのは、わけわからなくなってしまうので)側面もあり、基本的に小説の筋として「不思議世界の地獄巡り」の域をでないのは、しようがないところ。

 個人的には表紙の絵がものすごく美しいと思いました。最近のハヤカワ、がんばってると思います。

 昔には想像もしませんでしたが、死ぬまでに読もうというSF小説がいくつかあるのですが、ひょっとしたらSFというジャンル自体が、僕の寿命よりも短く終わってしまうかもしれないというのが最近の悩みです。

 それとも恐竜が進化して鳥類になった、というのと同じように、SFは絶滅し、ライトノベルになったのだろうか。
 そうかもしれない。