半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『ディアスポラ』グレッグ・イーガン

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

 冒頭の、主人公が創造されるシーンは、『イノセンス』で機械人形が作られるシーンを想起させるものでした。もちろん、創造のレベルとしては、バベッジの初期のコンピュータの機械回路と、現代のOSほどの違いがあるわけですけれども。

 後半の次元がどんどん展開していくあたりは、もはや想像力の範囲を超えています(僕の)。
 すごい小説だなあと思う。しかし、受け付けない人にはこれほど響かない小説もなかろうとも思う。「わからん!」で片づけられられたら、それで終わり。

 この小説は、SFの中でもかなり話題になった作品だとは思いますが、決して映画化とかはしてほしくないと思います。大多数が理解できる程度の映像というのは、何となく想像がつくわけですが、そういう矮小な枠に押し込めてはいけないように思う。

 個人的に、惹かれたのは「真理鉱山」です。数学の公理を見つけることが、純粋に娯楽となりうる世界。僕たちが、イラストロジックとか、ニコリをするように、数学の公理を探索するわけですよ。
 僕も久しぶりに数学の問題を解いてみたくなりました。大学への数学でも、久しぶりに買ってみようかしら。