オススメ度 100点
非医療者向けで、エビデンスは書かれていないのは気になる度 80点
- 作者: 築山節
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2005/11/08
- メディア: 新書
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うーん、身につまされたな。
突然言葉がでなくなる、何かを言おうとして、詰まってしまう、みたいな現象、壮年にはそれなりにあると思うけれども、それってヤバイですよ!という本。
認知症のごく初期の、脳機能が低下している状態の段階について書いた本。
著者は脳外科の先生。
いわゆるエビデンスばっちりで書かれたものではないが、実体験、実臨床に基づいた生々しさがあるし、実際私も思い当たる節はある。
一部紹介すると、
- 環境の中に脳をボケさせる要因がある
- 以前自分の脳を使ってやっていたことをすこしずつやらなくなり、使わない筋肉が衰えるように、脳の機能も低下していってしまいます。脳というのは基本的に怠け者であり、楽をしたがるようにできているから
- 前頭葉の機能が低下してくると話や行動が反射的・パターン的になる。
- 「新しく組み立てていく部分」が少なくなると、パターン的に処理している。職人的な仕事だけでなく、一見高度な組み立てを求められるようなお仕事でも、問題解決に至るまでの思考プロセスが反射的・パターン的であると、それは前頭葉を使っていないため、とっさの対応力が落ちる。
- 普段の生活でも同じことしかしない、気心の知れた人としか話さない生活は、新しく思考を組み立てる力はどうしても落ちる。
- 立場が上がって、より大きな仕事を任されたからといって、より思考的になるとは限らない。
- 上司になると面倒なことを部下に任せ反射的なパターン的な組み立てで対応できる世界に逃げ込んでいくことがある。
- 働き盛りの人がボケていく時に多いのは、何もしていないような場合ではなく、何か一つのことをやりすぎている場合です。
- 知識は消費するものではなく、一旦覚えるようにしないと、脳をつかわない。思い出せないと、ひらめかない。最近のインターネットは、思い出す努力なしで知識を引き出せるのでよくない。
- クリエイティブな能力は脳機能の総合力。専念していると、発想できない。
要するに、認知症と言われるような年齢ではない人でも、業務範囲が狭く、広がりがないような仕事をしている人は、脳の使い方が偏っているので、そういうのが常態化していると、認知症になりやすいんちゃう?という話。
言語能力も低い若い人が、うちの職場にもいるが(男性)、若くても、その後、前認知症段階にいくんだろうな…と思う。
ついこの前、「できないことを楽しむ」というブログを書いたが、それはやっぱり正しいということだな、と思った。
hanjukudoctor.hatenablog.com
脳の使い方として上手な具体例など、ノウハウについてもいろいろ書いてあるのがいい。