最近なんかのTVかYoutubeの番組で、認知症になっちゃった蛭子さん、を目の当たりにした。
一見して「おお…」と思ったけれど、よく考えたら「現役」の頃のTV番組で使われる蛭子さんと、明らかに違うかといえば、そうともいえない。
もともと蛭子さんは適当な応対とへらへらした笑顔が持ち味のTVのコンテクストに収まらない「異物」扱いだったわけだし。
いわば若くして「老人力」の象徴のようなキャラクターだったわけだ。*1
だから、認知症になって、昔以上に要領を得ない応対を繰り返し、わからないことはヘラヘラしてごまかしている蛭子さんというのは、キャラクターの定向進化というか、先鋭化させただけにも思える。
ただシンプルに笑いを誘うだけではなく、年齢による衰えというペーソスを加えると、視聴者にはむしろ複雑な陰翳を与える。
ゆえに、これはこれで需要はあるかもしれない。*2
そんな蛭子さんが、TVにでる前。何もしなくても許される「芸能人」に成りあがる前、プロダクトを作っていたころの本。
処女作だそうだ。
Kindleにはないので*3、本で買った。
……なんじゃこれ……
山野一の救いのない芸風にさらにナンセンスをまぶしたような毒全開の、世の中に恨みを撒き散らしているようなプロットと絵。
これって、ギャグ漫画なの?
色々な価値観が無害化・非暴力化した今では、ややどぎついほどの文脈のない暴力。
これはこれで時代の考証なのかもしれない……
メタ的な笑いはともかく、さすがに人には勧められないやつだなあ。
この本を置いた本棚の一角が、やや禍々しいオーラをまとってしまうので、本棚に美しいものしか置かない人には要注意*4
蛭子さんが、Youtubeによくわからないままでて、結局よくわからない回。大変おもしろい。