ダーウィンの覗き穴〔マンガ版〕──虫たちの性生活がすごいんです
- 作者: 日高トモキチ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/04/03
- メディア: 単行本
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Web記事で取り上げられているので買ってみた。
性行為、生殖器の進化を漫画版で活写したもの(原作は本らしいが)。
オチンチン、おマンマン、おセックスに関する本。
・生殖器の進化は、比較的短時間で起こりうる
・したがって近縁種でも生殖器の形態の多様性はかなり高い
(近縁種同士の種の分離につながっている可能性はあるのかもしれない)
・生殖行為の意味は、遺伝子のシャッフルで多様性を維持する、遺伝子エラーの蓄積の淘汰を行うためという説
・雄・雌の存在は、細胞小器官(ミトコンドリアなど)が、両方の親から引き継がれることによる衝突を回避するためではないか、という説。
ダーウィンは、生殖器の形態に関しては進化論の中に含めていなかったらしい。
しかしそれはビクトリア朝時代のイギリス紳士として、品格に遠慮したのかもしれないぞ、ということであった。
各論では、風変わりな性のエピソード、
イカの精包(突き刺さる)、フジツボ(体長より数倍長いペニス)、感覚便乗の話など盛りだくさん。
スラスト(ピストン運動)は射精に必要なのではなく、体内求愛行動の一つであるらしい。
種によっては雌は、体内に射精された精子を、選択する機能を備えている。
雄も、他の雄の精子を掻き出し排除する機能を有する種もある(ヒトも、実はそう)。
ドーキンス「利己的な遺伝子」の概念を援用すれば、同種間の個体淘汰は、確かにありうると思う。
Web紹介記事には生物学者の素描にはこだわりました、と書かれていたが、確かにそこは良い意味でよく書けています。
ダーウィン、グールドあたり、確かに最高です。
面白い。おもしろかった。
性に関する本ではあるが、読後感は「生命ってすごい!」というシンプルなもので、永遠の脳内中学生男子である私(別名ムッツリ男爵)をもってしても、この本から劣情を導き出すことはかなり難しかった。
専門家を目指すのでなければ、性行為に関する自然科学本としてはもうこれ一冊で十分ではないかと思う(雑学のリソースとして)。知らんけど。