半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『オトコのカラダはキモチいい』二村ヒトシ・金田淳子・岡田育

2日連続若干尾籠なネタで。
AV監督、BL専門家、文筆家・評論家の三人による鼎談。
トピックは、主に「やおい穴」「雄っぱい」など。

やおい穴

やおい穴」と俗称される、ボーイズラブ(BL)での官能器官。
これは、そもそも肛門なのか?そうではないのか?というところから話ははじまる。

腐女子の間では昔から「お尻のあたりに、男同士がうまいこと結合できる穴があるらしい」という共通認識はあったものの、これまで深くは追求されてはこなかった正体不明の「やおい穴」(中略)
そうそう、やおい穴って、だいたいが触られると「濡れる」ものなんですが、「潤滑油を使っているのか?」「肛門から何か液体を出しているのか?」など
ツッコミどころが満載なんです

やおい穴の解釈は様々なようで、
・想像上の器官であり、あくまでも愛の交接器官であり、断じて肛門などではない説(チンコとアナルの間にある、そこで妊娠するという過激思想も…)
・あれはまあ、肛門なんだけど、美少年がウンコとかしないよ説
・肛門だけど、汚くないように処理してますよ説
・肛門で、ウンコもつきますよ説
掲載されてたやおい穴派閥一覧は、もっともっと細かく分類されていて、おもしろかったけど、だいたいこんな感じです。
年代や、BLのカテゴリーなどによってもだいぶ違うそうで。
その他、やおい穴性交の歴史(『トーマの心臓』とか源流の少女漫画とかの流れ)、実際に前立腺刺激の気持ちよさ、ドライオーガズムなどについてのディープなお話。

雄っぱい(男の乳首)

あとは男の乳首は性感帯かどうか。
こっちは、AV監督&男優の二村ヒトシが、議論のイニシアチブを握っておった。
この方はメジャーAVで男の乳首責めをメジャーにしたと公言する(あくまで自称で、真偽のほどは定かではないが、面白いからいいや)方で、まあそれはそれで説得力があってよかった。
昔から乳首への刺激が勃起に繋がる事実は認識されていたので、待ち時間に勃起を持続しなけりゃいけないような時に、心優しい女優さんは乳首をいじったりしてくれていたそうな。ただそれはあくまで撮影外の出来事だったらしい。
だから、二村監督が男乳首いじりをフォーカスした作品を撮ろうとした当初、乳首いじりのシーンの瞬間、カメラさんが勝手に撮影止めたと判断してカメラ止めたりしてたらしい。
そんな苦労(?)を乗り越えて、二村監督は男乳首責めAV作品をリリースしたらしい。
へー(棒読み)
あとは、漫画での女性のおっぱいの話ですが、

  • おっぱいは「昭和おっぱい」と「平成おっぱい」の二つに大きく分かれます。昭和おっぱいはとにかく「丸い・固い・動かない」。平成おっぱいは「ゆがむ・柔らかい・縦横無尽」
  • 「乳首残像」(おっぱいの揺れにあわせてヘッドライトのように乳首の残像が残る表現)の初出は奥浩哉先生(HEN)(もともと奥先生は大友克洋先生にすごく影響を受けているので「大友作品のように新しい表現をなんとか生み出したいと思う形が乳首描写につながったのではないか」とおっしゃってました)
  • すくなくとも「ハレンチ学園」を描き始めたころの永井先生は童貞であった可能性が高いと言われています。当時の各社の担当編集者たち、さらに年長の友人であるSF作家の小松左京筒井康隆が、作品に結晶した少年のようなハレンチさが失われぬよう永井豪に絶対に初体験をさせるまいと「豪ちゃんの童貞を守る会」を組織していた、という伝説を聞いたことがあります。

この辺りは試験に出るので、ちゃんとメモしておくように。

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いかにも現代社会らしい、何一つ世界平和や戦争・経済食料問題・人口問題とかとは関係ない話題が、どこまでも深掘りされているさまに、ある種の懐かしみを感じた。日本は泰平で平和だぜ!って感じ。サブカル万歳!