半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『未来の稼ぎ方』坂口孝則

オススメ度 90点
へー…度 100点

今後20年に渡って予想される社会変化、それを踏まえた上で、流行りそうなビジネス、はやらなくなるビジネス、もしくは雇用形態などのヒントを書いてある本。
人生は100年と長くなるが、会社のプロジェクトの寿命は10年と短くなっている。
要するに、自分の人生のなかで、複数のプロジェクトを手がける覚悟がないと、やっていけないよ、ということだろう。
また、業界横断知識を持つことが、今後のキャリアには極めて重要なのではないか。
目指すは「何屋さんかわからない」仕事。
(この辺は序文で示されているので、ぜひ読んでほしい)


便宜上1年ごとに区切っている本で、読む前は、おいおい、未来予想なんて2〜3年くらいずれるもんだろう、とは思うけど、
一年ごとのクロニクルにしているのには、それなりの説得力と面白さがあった。
一年ごとに一つの分野を掘り下げて紹介しているので、とっちらかった感じではない。
例えば、2019年はコンビニ業界。コンビニ業界の隆盛は単身世帯の増加による必然であった。今後は単身高齢者のニーズを満たすきめ細かなサービスが求められるだろう、みたいなことをデータ典拠しながら示している。
例えば2030年は音楽業界の話。デジタル化によるマーケットの変化とストリーミングサービス、ライブの隆盛、マーケット用語でいうところの「フリー戦略」ビジネスモデル。そのバックエンドとしてのライブ。など。

事業をしている人も、そうでない人にも、役に立つヒントがいっぱいだ。
「へーっ」思うことも、「うんうん」と思うことも多かった。
総花的に紹介されているから、広範囲な社会紹介になっている。
それに論考の根拠になるデータ元もきちんと出典されているので、きわめてフェアな作りだと思う。
理系論文のReviewのようなものだった。

学生さんとかも、自分の進路を決めるのには、いいかもしれない。

著者の坂口孝則氏は、ハーバードとかMBAコンサルとかそういうところが出発点ではなく、メーカーの原価企画・調達・購買・資材部門というロジのガチガチにお堅い領域から頭角を表して今に至る人。こういう人好きだな。
ん!……4つ年下か……自分もそういう歳になったのかなあ。