半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

Bill Evans "Alone"

Alone

Alone

というわけで順序が逆になりましたが、Bill Evansの超有名盤、Alone。

前回の日記では『あわんかった』と書きましたが、いや、いいアルバムだと思うんですよ。奇手にはしることなく凄いことをしているのはわかる。ピアノ弾きではないのでそのすべてを完全に理解することはできないけど。

 でもね、なんつーか、このアルバム聴くとどうしようもなく寂しい気持ちになるんです。

 例えば私が女の子だとして、男の子とつきあっているとしましょう。男の子はあんまり友達がいなくてインドア派だけど、おしゃれで頭がよくて、なんか趣味にはまっていて、でもクールなところがあたしは好き。けど、あんまりつきあってても外に遊びに行ったりご飯一緒にたべたりしてくれないし、二人で一緒にいても、私を見てはくれなくて、頬杖をついてどこか遠くを見ているような感じ。あんまりあたしが言うもんだから、優しい彼はたまの休みに、一緒に遠出をしてくれた。好きでもない人混みのなか映画に行ったり買い物にいったりご飯一緒に食べたりしてくれた。けど、駅で別れた時に、背中の向こうから彼のため息を聞いてしまった……時の気分。

 やっぱり独りがいいんじゃない




 1足す1が二以上になる、そうありたいとのがバンドマンの理想ではないかと思うんですけど、このアルバムはそういう理想(という名の幻想)を抱かせない。なんか、あんまりにも流麗で自由すぎるこのソロアルバムを聴いていると、バンドでやっている時のビルエバンスの「不自由さ」を逆に感じてしまう。

 自分はトロンボーンという、どうしようもない単音楽器なので、ピアノが作るこういう音世界には到達できなくて、金輪際楽器を弾かない時がいつかくるだろうけれど、そうなったら、このアルバムの真の良さがわかる日がくるんだろうか。