オススメ度 90点
ぐっとくる度 90点
- 作者:大木 亜希子
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2019/05/23
- メディア: 単行本
一週間空いちゃいましたね。年末は色々忙しいです。
ちょっと前に雑誌で紹介されていたが、Kindle化はされていなかった。Kindle化をきっかけに、読む。
「あいつより うまいはずだが なぜ売れぬ」
は若い頃の森光子の言葉だそうだ
AKBグループの一つであるSDN48の二期生としてアイドル活動をしていた大木亜希子さんは、引退後、地下アイドルを続けたり、生活のために清掃のアルバイトなどもしていたが、ふとしたことからWebに文章を書くようになり、広告担当の営業として会社員として認められ、ライターとして独り立ちできるまで成長し、ふとアイドル時代を振り返って、アイドルの時にもがき、あがいた経験が、人生の生きる糧になっていることに気づく。
そこで、自分と同じように、アイドル後のセカンドキャリアを生きている人たちへの取材をし、本にまとめたものがこれ。
* * *
アイドルを卒業し、セカンドキャリアとして、バーテンダーであったり、保育士、クリエイター、ラジオ局勤務、アパレル社員など、職業はさまざま。
アイドル卒業のきっかけも、アイドルでは鳴かず飛ばずだった人も、次を考えて転身する人も、これまた様々。
ただ、取材する本人も同じ元アイドルであることもあり、筆致は取材元への誠実さと共感に満ち溢れている。
アイドル業界に身を置き、活動することは、並大抵のメンタルではつとまらないのだろう。どの女の子も、とてつもなく努力をしているであろうことが、伝わってくる。
そう、自分の頭と体しかない女の子がアイドル活動をする、ってことはとてつもなく大変なことなのだ。知力体力時の運。すべてを使う総合戦。
だから、その後のキャリアにおいて、アイドル時代の経験が、別の形で報われる、なんてことはある。
世の中、無駄なことなんてないのだ。
華奢なか弱い女の子達が、必死に頑張る。
なんとか生き抜き、彼女ら自身が選びとった人生をあゆむ様は、いや、なんというか、グッときます。
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考えてみたら、特にやりたいことがないけど、能力があって学校生活では自然と抜きん出た子って、とりあえずはアイドルのようなステージの上の職業に搦め捕られちゃう時代なんだね。21世紀は。
「やりたいことが特にないので、成績がいいから医者になりました」みたいな医者って結構いる。
なんか、アイドルを目指す進路って、それにも似ているような気もした。