半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『妻語を学ぶ』黒川伊保子

オススメ度 100点
反省度 100点


妻語を学ぶ (幻冬舎新書)

妻語を学ぶ (幻冬舎新書)

以前『妻のトリセツ』を書いた方の著書。妻のトリセツは、読んだことないがまあまあ話題になったような気がする。
妻、に限らず、男女の間では、物事の捉え方に結構差があるので、その性差をわきまえずに人間関係を続けていると、錯誤のもとになりますよ。ということ。なので、男の人は奥様と正しくコミュニケーションしましょうね、という本。めっちゃ実践的なおかつ、全人類の30%くらいに役立つ本だとは思われる。

むかし、性差については「話を聞かない男、地図が読めない女」というのが流行ったが、これはそれを補完するような本。
なんだかんだいって、男女はコミュニケーションがとれなくても、セックスしたりして、結婚まではするわけですよ。
でもその後の長い長い人生の残りを有意義な夫婦生活にするためには、理性が必要なんでしょうなあ。

以下、備忘録。

  • 女性脳は察してもらうことを楽しむ脳
  • 男性は姉たちのいる末っ子長男を、女性は弟や息子を持つ女性たちを観察してみよう。
  • 「好きにしたらいいじゃない」の言葉の意味について
  • 男性脳は成果型、女性脳はプロセス重視型。女性脳は感情で思い出を紡ぐ。
  • 感情が伴うとっさの会話においては女性の多くが心文脈を選び、男性はほとんど事実文脈を採択する。
  • 女性脳とは、共感によって、初めて正常に機能する脳だから
  • 「こと」ではなく気持ちに対してあやまる。
  • 共感する対話では「で、結論は?」「で、何が言いたいの?」「要するに」は言ってはいけない
  • 知らない人や場所のことを延々と語り始めたら「で、きみは?きみは何をしてたの?」ときけばいい
  • 「身の回りの物事への無意識の観察力」については男女脳ではゆうに3倍は違う(家事のような身の回りのとりとめのないタスクについては、男性脳は女性脳よりもはるかに認知度が低い)
  • 「気づいてあげられなくて、ごめん」は天国へのパスワード。「言ってくれればいいのに」は地獄へのパスワード。
  • 世界中の恋愛映画のパターンは、男女の脳が持っている生殖の基本戦略に則っている。
  • 感情攻撃で相手を振り回しすぎる女性は一緒にいる男性の運を下げる(疲れやすくなり、勘が働かなくなる)
  • 女性に大切にされると出世する
  • 女の涙は「心の汗」ととらえて、どうか気にしないで。
  • 恋に落ちる相手とは、そもそも生体としての相性は最悪、その行動は理解に苦しむ相手(生物多様性の論理にのっとって発情する)


男性にとって、女性の心理を比較的わかりやすく説明してくれているので、何度も読み直して叩き込んだ方がいいのかもしれない。

私は三人兄弟の真ん中で、姉と妹がいる。どちらかというとそういう女性脳に共感しやすいたちだと思う。
医療職では女性が多い。当院もご多聞にもれず、多くの女性が活躍しているので、自分としては、例えば朝礼や会議で発言するときに、「共感」形式でスピーチをしていることが多いのだ。(聴衆としては看護師を念頭に置いていることが多い)
それで、実際、自分のスピーチ自体はまあまあ伝わっている感触はあるわけだが、ただ、今回この本を読んで反省するのは、スピーチが基本的に女性の共感にむけているということに無自覚であった、ということだ。
逆に、このスピーチだと、男性には回りくどく、媚びているように受け取られているのかもしれない、と思う。
(実際、男性優位の部署のハンドリングはできていないのではないか、という感はあるのだ)

この本で言いたいことはある程度実践できているのだが、逆に男性にむけたスピーチを考えなければいけないな、と思った。