- 作者: 山本英夫
- 出版社/メーカー: 電書バト
- 発売日: 2016/10/01
- メディア: Kindle版
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変態、SM、そして暴力、妄想……
イっちゃっている漫画家山本英夫が本格的に世間に注目された作品。
『ホムンクルス』もよかったんだが、最後どうなったんだっけか……
ちょっと風呂敷を広げすぎてわけわかんなくなってしまった。
ホムンクルスまで行ってしまうと、ちょっとポピュラリティは得にくいんじゃないかと思うけど『イチ』はその「肉は腐りかけが最もうまい」的な感じで、奇跡的にバランスがとれている。
エキセントリックさとポピュラリティー。
狂気とストーリーテリングのバランスがよくて、内容とれている作品。
普通に読める。
とはいえ、その後の『ホムンクルス』の地平を知ってしまった身からすると、この作者の脳内のよくわからない何かを垣間見てしまっているわけで、その意味でちょっと怖いような描写はいくつか。
肉体の痛みそのものは、今僕らの生活ではあまり味わうことはないわけで、そういう痛みにフォーカスをあてて漫画で表現するのは、なかなか最先端だったように思う。
むき出しの暴力に触れることって少ないじゃないですか。
そういう意味では、今週のお盆休みに全国を席巻したあおり運転、からの車を止めさせて、外から運転手に殴りかかっている映像ね。
高速であおられ無理やり停車「殺すぞ」顔を何発も・・・(19/08/12)
あれなんか、めちゃくちゃウェイトののったパンチが当たってますけど、結構お茶の間的には衝撃だったと思う。
というか、あれ、暴力被害者がみたらPTSDのフラッシュバックを招きかねない。
Youtubeはともかく地上波で放送されるとは思わなかったな……まあマスコミの見識なんてそんなもんか。
こういう単純な暴力や身体切断を描けている漫画って今なら『ゴールデンカムイ』とかなんだと思うけど、あれはなんかあれで肉体がモノみたいに切り刻まれたりする生命のはかなさみたいなもんで、痛み描写が中心ではないような気はする。
痛みについての執拗なフォーカス、記憶の書き換えや妄想というところも含めて、
時代を考えても、殺し屋イチは斬新ではあったし、まあ良くも悪くも世紀末的な感じはあった。
そうだ、これを連載している時、僕は20代で、医学生最後らへんから、研修医になったころだった。
何か昔を思い起こさせるものばかり、最近は読んでいる。
死亡フラグなのか?