オススメ度 90点
コーチングの実践録として大きい度 90点
読者ハ読ムナ(笑): いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
- 作者: 藤田和日郎,飯田一史
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/07/12
- メディア: コミック
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ちょっと前に『漫勉』というNHKの漫画家を紹介する番組で、「うしおととら」で一世を風靡した藤田和日郎氏が紹介されていたが、
ダイナミックな書き方、ホワイトを盛りまくる作風がかなり衝撃的だった。
この本は、藤田氏のアシスタント=新人漫画家の育成、それから担当編集者、武者さん、その二人と、新人漫画家との会話を、綴ったもの。
新人漫画家は完全に言葉を発せず、会話として藤田氏と武者氏が語りかける体裁で話はすすむ。
おそらくだが、幾人かの新人とのやりとりをまとめたものであろうなと想像する。
* * *
期待していた以上の内容だった。
漫画については全く門外漢の僕だが、なにがしかの創造活動に従事している人間にとって、ものすごく重要な内容が語られていると思う。
演劇、音楽、小説、なんにせよ、クリエイティブなもので食っていくための心構えは共通だ。
そして、後進を育てる際に必要な年長者のあり方の一つを、藤田氏は示してくれていると思う。
藤田氏のオフィスでの「ムクチキンシ」の意味、
コミュニケーション能力は、訓練によって培われるもので、持って生まれたパーソナリティーではない。
人が話している時には、その人の話をきけ。
以下、備忘録。
(漫画の作画や、ストーリーテリングに対する考えなどにも興味深いものがあったが、そこは
少し他業種の人には関係ないので割愛)
- 自分の力で「山を登る」ことの大切さ。
- 評論家ヅラしているのは楽だが、それは言い訳して逃げているだけだ。
- 筋トレも練習もなんもしないで、プロのスポーツ選手になりたいと言っているようなものだ。
- 心を耕さないと、作品は育たない。
- 同人誌?持ち込んでうまくいかない時にはすすめない。「息ヌキはクセになる」んだよ。
- 「これ、いいよ」と言われた時に躊躇なく読んじゃうような素直さがある人間から、うまく転がり始める
- 「共通の価値観をつくる、共通言語をつくるために映画を観る」
- 漫画は、まず言語化だ。
- 暗闇の中やっていくには、本当は信頼できるメンターや伴奏者がいないと、作家は孤独すぎると思う。
- 作品について言われたことを自分自身に対する攻撃だと混同しちゃう。
- 君は「キミだけの武器は?」「個性は?」と言われた時に、外に答えを探した。「俺は勉強していないからダメなんだ」って。外に答えを探すな。内をみつめるよりほかから持ってきた方が、自分と向き合うより楽だからだよ。でも個性は、内側を見て、自分の過去を振り返らなきゃ見えてこない。
- どんなやつにも、びっくりするくらいのチャンスは来る。
- そのとき「やっぱりダメだ」ってビビらないためにおれがいる。
- 新人のうちはネットの感想だとか、そんなもんは見なくていい。100誉めてもらっても、ひとつけなされたらがっくり落ち込むのが新人作家だよ。連載をしてゆくキミに必要なのは、追い風なんだ。
「うしおととら」も「からくりサーカス」ももう一度読み直したくなったな。
特にからくりサーカス、って、最後らへんすごく感動した覚えがあるけど、ストーリーあまり覚えていないのだ。
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: Kindle版
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- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/02/04
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