おススメ度 70点
イギリスの過去恥部はんぱない度 90点
- 作者: 竹田いさみ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/09
- メディア: 新書
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大航海時代から産業革命くらいまでのイギリスの歴史。
カギは「海賊」である。
おそろしいことに、海賊の象徴ともいえるサー・フランシス・ドレイクは、イギリスの国家予算の半分くらいを略奪でせしめ、それを王室に献上していたそうな。
そもそもイギリスはヨーロッパの辺縁にある二流国だった。
そのイギリスの隆盛には、海賊行為によるスペイン・ポルトガルからの略奪抜きには語れない。
コーヒーハウスの隆盛。
ロイド保険組合の話。
コーヒーハウスの発祥については、これはモカをおさえ、ここを拠点にコーヒー交易が最初イギリスのドル箱になっていた。交易品を普及させるためにイギリスにコーヒーハウスが沢山できたのだとか。しかしのちにオランダがジャワでのコーヒープランテーションを始め、ジャワコーヒー売り出すと、価格競争で負けてしまったので、イギリスはコーヒーから撤退し、紅茶に切り替えたらしい。
でも、上流階級の人たちは本場の中国の緑茶をのんでいたんだってさ。
これは別の本にもあったが、カリブ海での砂糖のプランテーションと、中国からの茶をおさえている「イギリスえらいぜ!世界を股にかけているぜ!」的な成金的な考えで、紅茶に砂糖をいれるようになったんだとか。
ちなみに航海中は飲料水の代用として大量のワインを飲んでいたため、大半の海賊がアルコール依存症だったらしい。
いわゆる「野卑で粗野な海賊像」には、そういうところも影響しているそうだ。
スペイン無敵艦隊とのイギリス艦隊との決戦にも海賊が活躍していた(というより、海賊船団とイギリス海軍は、お互いに船の融通や指揮官の搭乗なども含めて、区別が難しいのが実情のようだ)。火船攻撃などは、三国志の赤壁の戦いに通じるものがありますな。
東インド会社の強引な独占貿易で、アメリカ独立戦争の紅茶についても、インドのプラッシーの戦い、中国のアヘン戦争の原因になった。
あとは、奴隷貿易にも、女王陛下配下の海賊がかかわっていたらしいが、これは当時にしても非人道的なおかつ密貿易だったので、書面上は非常に注意深く王室は関与していないことになっているのだそうだ。
近現代史を、海賊というパワーワードでみるとまた、別の光景が見えてくる。
いや、日本も昔はいろいろ韓国・台湾・中国で悪い事してた、……いうて反省していますけど、ほんまヨーロッパの悪事に比べたら小さい小さい。