- アーティスト: 福村博クインテット
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
僕は向井滋春氏はあんまり聞かないので、CDも一枚くらいしか家にない。勿論、向井氏は手広く活動しているので、何らかの形で向井氏が入っているCDは10枚以上になるのではある。
何から買ったらいいかわからないから、とりあえず平積みにされてたこれを買ってみました。
このCDは向井氏と福村氏によるトロンボーン双頭コンボのアルバム。
70年代前半の日本ジャズシーンがどうかというのは追体験するわけにもいかないわけですけれども、サウンド的にはモーダル・コーダルで、60年代のブルーノートのサウンドを踏襲したような感じ。マッコイ・タイナーが、白玉で4度積みのバッキング、みたいな。
いやね、その当時の基準で時代と切り結んでいるのはわかるんですよ。LPでA面が10分台の長いオリジナル2曲で、B面が3曲。ものすごい真面目なというか、ストイックっていうかね。
B面二曲目がCousin' Mary。でB面一曲目は割と細かいリフのキャッチーな曲"Winter Song"。これ、今のマーケティングなら、間違いなくA面とB面が逆ですよ。このLPのA面をトップに持ってくるようなジャズ文化は80年台を迎える前に、一度絶滅してしまいました。
しかし、この時代は本邦に限らずトロンボーン奏者にとっては苦難の時代で、このモード以降となると、トロンボーンがキャッチアップしていくのがなかなか大変なんですよね。Free For AllのCurtis Fullerが自分にとってはその象徴で、ものすごく吹けてないソロです。Hub CapとかのJulian Priesterにしても同様。
このCDは二人とも若い時代でありまして、かなり勢いがあるのが見て取れますし、お互いに刺激し合ってかなり盛り上がっているのもわかる。しかしトロンボーンの器楽的爆発力を生かしたプレイであり、フレーズ的にはやはりちょいと物足りないように思うのも事実です。ジャズトロンボーン奏者なら分かってくれると思うけれど、そうでない人にどこまで通じるでしょうか。
ちょっと70年代のぎらついたざらついた雰囲気を感じるにはいいCDです。向井滋春氏のソロのよさというのが僕にはぴんと来ない時があったのですが、これを聞いて少しわかったような気がします。