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- アーティスト: サラ・ヴォーン,エリオ・デルミーロ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/01/23
- メディア: CD
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うちにはCDが二千枚近くあるのですが、サラ・ヴォーンのCDはなぜか一枚もありません。
管楽器の自分にとって、最もなじみ深いサラ・ヴォーンの作品は"Sarah Vaughan with Clifford Brown"でしょう。レコードの表題曲でもある一曲目の"Lulluby of Birdland"=バードランドの子守歌では、クリフォード・ブラウンがバースの部分でソロを吹いています。このソロ(およびピアノソロ。ピアノ誰だっけ)もコピーした記憶がありますが、手元にはCDがありません。学生時代にテープにダビングしたんでしょう。むかしテープに落として聴きまくったCDを、今になって買うかどうかは、音楽愛好家にとって悩ましい問題です。テープデッキは、今手元にはないんですよね。
話を"Copacabana"に戻します。
僕がサラ・ヴォーンを初めて聴いたのは、このCDなんですよ。中学生の時、近所にレンタルCDのアコムがありまして、そこにあったサラ・ヴォーンがこれだけだった。右も左もわからない時代にジャズ・ボーカルとしてインプリンティングされたのがサラ・ヴォーンだったわけです。だから、借りてみよ、聴いてみよ、ふ〓ん、って感じでしたが、今でもあの系統の唄い方に惹かれる傾向はあります。しかし今にして思うと、なんであの店にはあのCDしかなかったんやろ。段々ジャズに詳しくなってきた今、このCDの「へんさ」がよくわかる。
オリジナル・レコーディングは1979年。
サラ・ヴォーンは、ジャズ・ボーカリストとしては抜群の実力を持っている割に、代表作にあまり恵まれないところがありまして、マーケティング的には低迷ゆえ迷走しているかのごとくにみえます。今聴くとかなりゴキゲンなLover's Concertoとかも酷評されたらしいし、いやはや、運の悪い人です。
70年代にこのCD含めて、ブラジル系音楽の企画盤を二枚出しているのですが、これも迷走の軌跡のように見えます。だいたい、この時期のブラジル音楽っていう道が、まず安易で、例えばChick CoreaとAirto Moreiraとか、ラテンサウンドとのクロスオーバー(今でいうフュージョン)というのが主流の時代、低迷したジャズの人たちのベタな起死回生策、といえば、やっぱりラテンなんですよ。だから、サラ・ヴォーンよお前もか、って感じになっちゃう。サラ・ヴォーンが、スーツ着た若い経営コンサルタントに転がされてぺこぺこしている老舗の中小企業の社長のように見えてくるのです。
実際サラ・ヴォーンはあまりにジャズ過ぎて、全然ブラジルっぽくなりません。しかし、まるっきりミスマッチかというとそうでもなくて、いわく言い難い不思議なテイストです。ボサノバ…じゃないけど、決してバッドサウンドではない。
これは自分の勝手な推測ですが、サラは、サンバならガチにはまったんじゃないかと思う。ボサノバっていうのは、金持ち音楽なわけで、サンバのもつソウルを漂白してできたようなものだから。サラのボーカルはアーシー過ぎて、ボサノバにならない。
でも、だからこその、純血のボサノバにない、体臭的なものが感じられる。ものすごくおすすめ、というわけではないのですが、僕は好きです。
それから、是非聴いて欲しいのが表題作のコパカバーナ。これは名曲!
よくCopacabanaというとバリー・マニロウのヒット作(♪コパカバーナ、コパカバーナー←ノリノリで)というのを想起する人が多いのですが、あれは全く違う曲で、これは比較的古い(1945)ブラジルの曲です。
正直にいうと、このCDを買い直した理由は、この曲が聴きたいばっかりほかなりません。
Youtubeに落ちていましたが、この曲がCopacabanaです。このヴァージョンは全然しらないおじさんが歌っていいますが、いい曲でしょう?
紹介:とりあえずサラ・ヴォーンの代表作をおさえておきたい人にはこのコンピレーションがお勧め。ジャズ・ヴォーカルのオムニバスなんですけど、1ではLulluby of Birdland、2ではLover's Concertoが収載されています。このアルバムは他の歌手のも大概有名どころをおさえているので、非常にコストパフォーマンスがよろしい。
Sarah VaughanがかなりスローでWaveを唄っています。Waveはこのアルバムには収載されていませんが、サラがブラジル音楽を歌ったらこんな風になるという例。