- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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この前、テレビで映画版をやっていたらしく、それをみた嫁は「あんまりおもしろうなかった」などと言いよったものだから、
「憤怒〜〜〜っ!そんなことないのじゃ〜〜!!」と本を買ってきました。逆に僕は映画はみていませんが、これは映画にしにくそうだなーと思ってはいました。
(僕は前に図書館で読んでいました。だからこの本は買わずに済まそうと思っていたのですが。)
しかし、文庫だと460円。サービス100円券とか使って、260円。安いなあ。
小説として非常に完成されているんじゃないかと僕は思います。極めて小説的な完成が強固なあまり、映画とかにはしにくいんじゃないかと思うわけです。(読んだ時の感動の深さは、映画化したいという動機に充分であるのは理解しますが)。
万人受けするような単純なお涙頂戴のハッピー・ストーリーではなく、ぽっかりとした寂寞な感じが、深い感慨を残します。
実際、筋だけ追えば、かなり救いのない話ではあります。もちろんそこに散りばめられるエピソードは、非常に印象的ではありますが、結局主人公の(家政婦の)人生は、なんだったんだろうと。
ところで、この話は、ものすごくするすると話が進むけれども、この感動的な話を成立させるために作者はとても注意深く設定を作り上げています。でも、ものすごく読み味としてはあっさり。この辺がいかにも小川洋子らしさだなあ。
例えば、
「君の靴のサイズはいくつかね?」
「23.5cmです。」
「………… うん?あ、そう。仕事頑張ってね」
となってしまうわけだし。まぁ、そういう意味ではリアリティがないといえばそうなんですけれども、その反面、ものすごく小説的な意味においてリアリティがあると思いました。
ところで、作者の小川洋子さんの著者近影、かわいらしいですね。なんか、顔のパーツが一つ一つ丸っこいというか、西山喜久恵のかわいらしさに通じるところがある。ま、デビュー当初のジャッキー・チェンにも似ているわけですが*1。