- アーティスト: Ann Sally
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2003/12/03
- メディア: CD
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微笑みながら声を伸ばすと、ちゃんと微笑んでいるかのような声で歌い、悲しい歌詞には悲しさをきちんとのっけることができる。歌詞、というか音に情感を込めることができる。
これは、ライブテイク集。ひとつところのライブではなく、いろんなところでのライブテイクを集成したらしい。前にVoyageを聴きましたが、曲は半分くらいかぶっている。きよしこの夜が存外に沁みました。
アレンジは、極力ボーカルを邪魔しない、というかボーカルのアコースティックさがひきたつようなサウンド。料理でいえば、真ん中に炊き立ての超うまいご飯がでーんとおいてあって、あとは、塩昆布とか、梅干とか、焼き魚とか、単品で存在感を主張するおかずじゃなくて、「ごはんをうまく食べる」ためのおかず、みたいな感じ。
きょうびのジャズボーカルの作品ではバックのサウンドで、創作料理のようなオリジナリティがキモになるわけです。アンサリーは、そういうのとコンセプトがだいぶ違っていて、直球勝負です。いわゆるジャズボーカルだって、みんな歌うまいんだけどね。ジャズの場合、どうしても「ひとひねり」で勝負せざるをえないところがある。
逆にAnn Sally以降、「いいメロディーを、さっぱりと歌い上げたらそれでええんや」というのが市民権を得た感はあります。そういうやり方がありなんやというコンセンサスは、明らかにアン・サリーの功績でしょう。ただ、それによってボーカリスト市場は、ますます昏迷の度を深めたな。
どうでもいいけど、ジャケットは、小津安二郎の映画のオープニング柄だと思いました。好きですこの柄。麻袋。顔のうつったジャケもいいんですけどね。