半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『ジャズ・アネクドーツ』 ビル・クロウ 村上春樹訳

ジャズ・アネクドーツ (新潮文庫)

ジャズ・アネクドーツ (新潮文庫)

 ジャズと村上春樹。ジャズミュージシャンのアネクドーツ=逸話の集積本。ビル・クロウは偉い。地道な仕事だとは思う。ま、でもビル・クロウもこの時代のミュージシャンですから、おじいの昔語りのようなものかもしれない。
 昔のジャズマンの類型が窺うことができますが、最近のトップ・ジャズ・ミュージシャンのそれとはずいぶん違うなあと思った。なんか、宵越しの金はもたねえっぽい感じで、気持ちがよい。
 あと、この時代のジャズは、ジャムセッションなどで、「勝負!」みたいなのが逸話によく出てくる。最近のジャズは多様化、たこつぼ化しているから、全然違うスタイルとかだったら、まず一緒にやらないよね。ルール・土俵が同じだから優劣というのがはっきりするんだろうし、剣術勝負のようなのが多い。
 きょうびのジャズは、もうそんなよき時代ではなくて、ミューシャンは直接の勝負ではなくて作品で勝負をする。ま、僕らが勝手に思っている最近のトップジャズのミュージシャン像というのは、朝早く起きて、ジョギングを終えたあとは、プールサイドでフレッシュジュースでも飲みながら、ファイナンシャルタイムスに目を通す、わぁ、字面で書くとえらい通俗的だー。でもハンコックとか、そんな感じくさいよね。