半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『マキアヴェッリ語録』塩野七生

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

 ローマ/イタリア文化好きの塩野女子は、チェザーレ・ボルジアと同時代のマキャベッリについても興味があるはずと、当然思っていたわけですが、まあこれはそういう本。

 しかし、企画としてはやや安直。君主論をはじめ、マキャベリの主著から、「これはいいな」と傍線を引きたいような部分だけを抜き書いて、テーマごとに並べただけ。一部塩野女史の注釈。
 『ローマ人の物語』などの誠実な執筆姿勢からは丁寧な書き手ぶりが伺えるわけですけど、これに関してはあんまり感心しなかったなあ。

 とはいえ、元のマキャベリがいいので、入門というか、抜粋としては結構便利なのも事実。岩波の君主論とか、読むの重いもの。塩野女史が我々向けに噛み砕いてくれているのがいいように作用しているんだろうなあとは思う。でも、なんか、癪な本だ。