- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/10/14
- メディア: 文庫
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どうもこの表紙を観ると、おっさん雑誌に掲載されている『C級さらりーまん講座』を連想してしまう。
小説家重松清が、様々なシチュエーションで派遣されている単身赴任サラリーマンをルポルタージュしている。
本人もサラリーマン経験があるせいか、非常に丁寧に書かれた良質のルポだと思いました。そして、当事者への視点が優しいんですね。いわゆる問題提起のための「社会派」ルポというよりは、応援というか、そんな感じ。読んだら元気が出るような本です。
本当は、「残酷物語」みたいな話にしたてるのは簡単だろうし実際そういう面がないと言えば嘘になるだろう。新聞の取材とか、そういうレポートは珍しくない。けど、そういうレポートって、実際に取材を受けた側も「なんか違うんだよなー」って首をひねる。それは自分の言ったことが記者が取材する前からあらかじめ決めているニュアンスのために再構成されているからなんだけど。
この本が、なんかポジティブな印象を受けるのは、書き手が自己主張を控えめにして、「取材者の見たい現実」を愚直にそのまま読者に伝えようとしているからではないかと思う。重松清、誠実な仕事にちょっと見直しました。