- 作者: 柘植久慶
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/04/01
- メディア: 文庫
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今でこそこういうミリタリー関係の知識は日本でも裾野が広がったが、この柘植氏が戦後日本の軍事系作家のはしりではなかったか。
内容はというと、やたら描写が細かいのは専門家のこだわりのなせるわざなんだろう。けど、ドラマツルギーとして、優れたものがあるわけではないと思う。
なんというか、医者の書く医者ものの小説に似ている気がする。「正しい」知識がありさえすれば小説が書けるというわけでもないのだ。小説、ではないが、やはり医者もの漫画のナンバーワンは、「ブラック・ジャック」だろう。あれの大部分は医学的には荒唐無稽な話だが、ストーリーテリングが良いのでやはり漫画として完成度が高い。山崎豊子だって『白い巨塔』は凡百の医師系作家の書く中途半端な医者小説よりずっと面白いわけで。
うーん、個人としての柘植久慶は尊敬してますけど、これはちょっと。