- 作者: 水木しげる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/15
- メディア: 文庫
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「今度の朝の連ドラ、水木しげるが主人公やで」って言っても、
信じた?世の中予想外なことが起こる。
たとえば、あと20年くらいしたら、電撃ネットワークが国民栄誉賞を取ったりするかもしれないし。
ただ、10年前のコモンセンスはともかく、水木しげるという人物には非常な「深み」があるのは確かだ。最近はこういう昔の作品も復刻されるから、このように過去の水木作品が入手しやすくなるのは単純に嬉しい。ただ、マジョリティーに訴求する力がほんとうにあるんだろうか?
この作品は、貸本時代(まだ極貧の、腐りかけのバナナを夫婦でごちそうだと、食べていたころ)に書かれた戦記物。
原稿は残っておらず、好事家が持っていた貸本コレクションを複写したために、細かい線はつぶれているとのことだが、それ以前に、さすが、質より量の貸本、線はその後の緻密な水木作品にくらべると、ほとんどラフスケッチである。大コマには手がかかっているが、基本殴り書きに近い。(Hunter x Hunterの富樫のような感じだ)
しかし、そのストーリーのクオリティーは悪くはない。貸本って、こんなちゃんとしているものなのか。
ただ、これもページ幾らの貸本の宿命か、例えば、艦隊がでてくると、一こまに一艦という形で、ページの水増しとしか思えない描写をしている部分もある。(この辺りの、あえて冗長にしているのがありありとしている様はなんとも、金に困っている感じがほほえましいというか、なんというか)