半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

恩田陸 象と耳鳴り

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)

 元判事の関根多佳雄及び関根家の人々を中心にしたミステリー連作。

 ミステリー短編というのは比較的形式がかっちりしていているものです。恩田女史にはその決まった形式でトレーニングを積んだ巧さがほの見えました。ジャズ・ミュージシャン上がりのポップス・ミュージシャンがジャムセッションで吹いているような、そんな感じでしょうか。

 話が進むにつれて関根家の人々の人となりが窺えて、世界観に広がりが出てくるのは読んでいて嬉しい。


 あと、この本は祥伝社というややマイナーな出版社から出ていますが(そのせいかはまぞうでも表紙絵がない)
装丁は緑色を中心とした、古風ではあるが美しい本です。ちょっと昔風のざらざらした紙質。
 僕は本棚に本を並べる時に、背表紙の色で分けているんですが、緑色の本ってあまりないんですよね。