オススメ度90点
わかるー度 100点
『孤独のグルメ』『食の軍師』の原作で有名な久住氏の本。
全国各地(一部海外あり)の事前情報なしで店のツラ構えだけで店を決めて、美味かった記録。
おそらくは、チャンピオンデータだけ集めていて、うまくない店も失敗した経験もあるのだとは思われるが、長年やってる地元に愛される店の描写が楽しい。
久住さんはミュージシャンでライブとかで結構全国まわってるんですね。
ちなみに、ジャケ食いは、ミュージシャンらしい言葉で、CD・LPのジャケットだけでエイヤッと買う行為を「ジャケ買い」というのである。それをもじったわけですね。
谷口ジローが生きていたら挿絵は谷口ジローになったのかもしれないが、『食の軍師』の泉さんが挿絵。
泉さんの絵は、谷口ジロー氏に比べると、くだけているせいか、本の格調も2段階ほどさがり(表紙などは、ほんこん?とか思いましたよ。インパクトあるなあ。キング・クリムゾン感を出そうとしたなら、それはちょっとあまり成功していない気がする)
- アーティスト:キング・クリムゾン
- 発売日: 2020/02/26
- メディア: CD
池波正太郎的が、よく小説で描写する『着古された服はお世辞にも立派とはいえないが、垢じみておらず』みたいなていの店が、畢竟いい店なんだと思う。
グルメ情報などを頼りにうまいものを食ってやろう、というのは、店を割とシビアに切って切って切り捨てる行為なわけで、ネガティブセレクションで、そんなに好きじゃない。
店に肯定的で「いいとこさがし」をするのは人のあり方として好感がもてます。
大体、そんなクソまずい店なんてそんなないのである、と僕は思っています。
出されたものを虚心に食べればよろしい。
そういう店に対する肯定感(心の広さ)については、清野とおるの出世作『北区赤羽』に近いし
halfboileddoc.hatenablog.com
グルメ批評ではなく、店のありようとか、長年店をやってきた店主への寄り添う共感の優しさの点ではこの本にも近い。
halfboileddoc.hatenablog.com
ちなみに、CD過去3000枚くらい買った僕ですが、ジャケ買いではいろいろ失敗したなあ。