半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

"The Changing Same"平井堅

THE CHANGING SAME

THE CHANGING SAME

 僕が平井堅を認識したのは、Gaining through Losingですが(ブレイクしたのは大体その辺だと思う)、これはその前作に当たる一枚。

 サウンド自体は、ひどくまっとうなR&B。ちょっと前で言うところのAOR的風味もある。
 今の平井と比べるとアレンジの引き出しが少ないようにも思う。おそらくここアルバムの頃は、志向しているサウンドに沿わせてきっちり仕上げることがまず第一で、オリジナリティーを出す段階ではなかったのかもしれない。 そうですね、学術論文でいうと、fig 1の辺りでは、導入部というか、今まで学界でコンセンサスを得た事実の追認に近いような結果を示しますが、それに近いようなアルバムです。
 逆にいうと、そのアルバム世界において破綻は少なく、精度の高い演奏であります。
 その後紆余曲折を経て、サウンドにおいて発展していくわけですが、このアルバムの頃はそういう発展の準備段階といえると思う。しかし、この時点で平井堅の歌唱力自体はすでに完成されすぎるほど完成されている。
 すうどんみたいなもので、平井堅のボーカルを楽しむのであれば、むしろわかりやすい。この辺の状況は初期のドリカムと同じか。