- 作者: 遠藤秀紀
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: 新書
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ひと言で言えば、「進化とは漸進的な絶え間ない改良ではなく、かなりその場しのぎのデザイン改変である」というのがテーマ。しかし、「その場にある使えるものを使う」というやり方で、美しいデザインを形作る自然のみごとさ、不思議さよ。工業デザインとかとは違って、トポロジカルな変化をするからね。
ま、グールドの本でも述べられていることで、進化の通史ではあるんですが、具体的に掘り下げてわかりやすく説明している。
個人的には目次をぱらぱらっとみて、「垂直な身体の誤算」という一章に惹かれて買ったんです。この人は解剖学者であり医者ではないが故でしょうか、正直にいえば自分にとって新味のある議論はなく、残念でした。
でも、極めてまっとうな、わかりやすく説明した本ではあります。
比較解剖学者の本には、過大な期待を抱いてしまうんですよねえ。おそらく以前に読んだ三木成夫:胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691)) が、自分の中の基準となっているからだと思う。
この本は自分の中では「無人島に一冊だけ持っていくのはちょっとアレだけど、無人島にカラーボックス一箱分の本を持っていくなら是非持っていきたい本」なわけですが(微妙だ)、ロゴスがパトスより優先され、思考がどんどんドライブするのがすごい。楳図かずおの漫画みたい。
それにくらべると、今回のこの本は、どうしても教科書感が漂っちゃうんですよねえ…。
あ、いいのか。