半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

こうの史代『夕凪の街桜の国』

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

 まるで借金を返すかのように読まなければいけない本を年の暮れ駆け込みで読むシリーズ。話題になっている時に当然探したのですがその時はたまたまみつからなんだままだったんですね。毎週アルバイトで通勤する時に僕は新幹線を使って隣の県へ越境するんですが、そっちの駅前の本屋に置いてあったので買った。さすが我が生まれ故郷広島県よ。こういう被爆関係の文物は必ずおさえてある。

 ええ話やね。
 さわやかでもあり、当然重くもある。

 例えば僕らは学校には必ず『はだしのゲン』がおいてあり、かなり濃密な被爆教育の中で育ったわけです。そのものずばりを書くはだしのゲンは、勿論当事者としてのリアリズムはあるわけですが、戦後もええとこな我々の世代にとってちょっとぴんとこないところもある。
 これにはそういう違和感はあまりなくて、我々の世代にとって身の丈にあった想いがつまっているなあという感じがしました。

 あと、漫画の作画はかなり黒白のはっきりした描線であるのに、表紙の絵はふうわりした透明感のあるきれいなカラーでとってもいい感じの雰囲気が出ているのではないかと思いました。この表紙があるのとないのでは随分受ける印象が違う。