半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

池波正太郎『男の作法』

男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

 バイト先の医局にぽつねんと置かれていた。
 誰のだ。
 しかもカバーがはずれている。
 (アマゾンでもカバー画像がないので、結局どんな表紙なのかわかりませんね)

 この本は池波正太郎が若い男の子に男のみだしなみとか、バーや料理屋でのお作法を教授しますよ、という本。語り口はあくまで江戸っ子で、江戸町人のダンディズムというものがかいま見える。もしあてレコをあてるなら永六輔のようなしゃべり方がしっくり来るような気がする。
 しかし、『おやじバイブル』という感じもしてあまりおもしろくない。浅っさいおやじが薄っぺらいうんちくを得々とたれたりするが、その諸悪根元はこれか!といった感じ。

 池波氏はこういうおやじ道の本家本元なので別格として、そのフォロワーは世間に大量にいるんだよ。まぁ、この本を元にしている人はまだいい方で、『美味しんぼ』から蘊蓄るやつよりはましなのかもしれない。『美味しんぼ』でみたような話が結構でてまして、雁屋哲影響されまくっとるなとも思いました。

 うー…ん、でもこの本、二度三度読んでみたいとも思う。買おうかしら。


 ところで、カバーのない文庫にはなんとも言えずうらぶれた寂しさがある。僕はあの殺風景なのがあまり好きではなく、たとえば図書館などで文庫新書のたぐいがカバーをはずされて陳列されていたらあまり手を伸ばす気になれないのである。
 また、私の実家は本の扱いが非常に杜撰な家で、たとえば自分の好きな本を実家に持ち帰ると、少し経つとカバーがなくなってしまい、悲しい思いをしたことがあった。本のカバーって案外大事ですよね。