半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

南木佳士『医学生』

医学生 (文春文庫)
ちょっぴり半自伝的な医学生の青春群像。

うわぁ、これ、リアルだ。

どんな患者にも歴史があるのと同様、どんな街の片隅にもいるようなつまらない医者にだってそれなりのドラマがある。この本で出てくる4人のエピソードには、現実に同じ人生のコースを過ごした僕にとっても見過ごせないリアルさがあった。もうね、全然他人事じゃないの。なんかよんでてつらい。沁みる。傷口に。

僕にだってそれなりにそれなりのドラマ(HPに書いたものも、書けないものも)はあったわけだから。

また、主人公の4人の医学生のその後の足取りが、全然偉くなってなかったり、学生の時の欠点そのままだったりするところも、ことさらリアルだ。人間の弱さを、弱いままで、克服せずに、ただ見せないようにして、大人になってゆくのだ。

医者に対する偏見(いい意味でも悪い意味でも)をとってくれる、かもしれない。

それにしても文庫の表紙絵はいやだなぁ。つげ義春無能の人』に出てくる、主人公の友達の古本屋みたいだ。