- 作者: 藤沢もやし
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これも、なんか「マンガアプリ」みたいなウェブCMで見かけた。
「ほらほら…続きが読みたくありませんか…?」という誘い文句にまんまとのせられてしまった。
私はこの女よりは上
でもこの女よりは下学校生活において
それは死ぬほど
どうでもよくてでも
死ぬほど
重要なことこの教室で
一年間
平穏に暮らす
ためには――
女子校のスクールカースト(もっというとグループなんかよりもシビアな、スクールランキングみたいな話)。
あけすけにいうと、サル山のボスに誰がなるのか、という話。
1年間の攻防を、もと女王のキレイな子視点であったり、もと女王の取り巻き視点であったり、新女王であったり、別の中くらいのカーストの子たちの視点であったり、複数の視点から、丁寧に描かれる。
マウンティング合戦、世論形成、他者への攻撃、ホンネとタテマエ。いじめとかでよくある、流れがすぅっとかわって、サイレントマジョリティの攻撃の対象がかわる瞬間など、現実世界やSNSなどにもある、人の世でみられる汚い人間関係が、上手に描写されている。いやー、嫌なものを丁寧に描写するなあと思った。
でも、ブスじゃん
の破壊力!
そんな陰口を、こっそり聴いたら、俺なら死んじゃう……
あまりあけすけな性的な問題がないのは、中高一貫の女子校だからなんでしょうね。なので、そこまでの陰惨さがない。
ちなみに、自分はというと、男子校の中高一貫校であったが、男性って女性ほど人間関係性について、敏感ではないので、そこまで陰湿なスクールカーストはなかったような気がする。というより自分はそういう校内政治に全く興味がない……ということからわかるようにスクールカースト下位30%くらいにいたに違いない。
* * *
(追記)
そういえば、女子のみのコミュニティーということでは、ジェイムス・ティプトリー・ジュニアの
「ヒューストン・ヒューストン、聴こえるか?」が私としては記憶に残っています。これは男がいなくなった世界で女性がどのようなコミュニティが作られるか、というものですが、どちらかというとヒエラルキーのない、井戸端会議を巨大にしたようなフラットな社会、と描かれていました。
でもこの女子校の話は、完全なるカースト社会、階級闘争社会。
どっちが、正しいんだろう。
- 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,浅倉久志
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あ、そうだ。このBlog記事、はてなDiaryから引き継いでもう10年以上やってんですけど、気がつくと1000記事超えていたんですよ。
継続は力なり、とは言うけど、どんなもんでしょうかね。