機動戦士ガンダム THE ORIGIN(1) (角川コミックス・エース)
- 作者: 安彦良和
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/06/26
- メディア: Kindle版
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ええと、この前の『アレクサンドロス』『イエス』を読んで、ガンダムを読み直してみました。全24巻の、一大絵巻物である。
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テレビ版のファーストガンダムもかなりの時間を要する一大サーガではあるが、なにぶん、大きな世界観の中の一部分を切り取っているものだから、登場人物の描かれ方にも、少し足りない部分もあった。安彦良和も、漫画家としてこの題材に、もう一度取り組んで、安彦らしさあふれる作品になったのだとは思う。
特に、一年戦争開戦前の、ザビ家とジオン家の足跡などを書き入れることで、よりいっそう登場人物の行動に深みと必然性が付与されたのだと思う。
- アムロは、基本的にはサイコパス系の浮気者。自分の視界に入るキレイな人に対して色目使いすぎ。また、自分の女を大事にもしない。自分を好いてくれる=自分のものだと思っているフラウ・ボウには冷たい。
- 逆にフラウ・ボウは、好きな男との自己分離ができず、束縛する系で、かなりめんどくさそう。
- ミライさんとスレッガーの恋愛、これはもうなんなんでしょうね。いわゆる戦場の特殊心理や、非戦争状態における社会階層での婚約、戦時下の軍隊組織の人間関係に重なる恋愛感情とかが錯綜するなかのあの行動。彼女の心的風景は非常に複雑なわけで、なんかすげーリアル。さすがにこの恋愛については、安彦版でも、納得の行く描写はなく、やっぱり突発的発情にしかみえない。彼女の心情はブラックボックスである。
- マチルダさんはサバサバ系。婚約者のウッディ大尉もそうだが、単に彼らはモテモテだっただけなのでは、とは思う。ウッディはマチルダさん死んでも悲しかったとは思うけど、次の候補はそれなりにいたんじゃないんかと。前線と違って整備関係はQOL高そうだし。
- ジャブロー侵攻司令官のガルシア・ロメオが高城剛にしか見えん。
- レビル将軍。愚将・凡将ではないし、兵を見下したりもしていないけど、卓越した名将ともいいにくい。このへんの造形もリアルっちゃリアルだと思う。
- ザビ家の権力闘争。最後内ゲバを繰り返して自滅してゆくさまは、やはりこの組織は滅ぶべくして滅んだのかもしれない。ファミリー企業は、やはり人材が薄い。ねえユニクロの柳井さん?