- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 文庫
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バレー部キャプテンの桐島が突然部活をやめた。 そのことが、バレー部員だけでなく、周りの生徒に微妙な変化を与える。 不安定な高校生の心を描いた青春ストーリー。
今思うと、スクール・カーストは私の学校にもありましたが、私の母校は男子校であり、また全国的に最も偏差値の高いとされる受験校だった(おまけに私は県外から入学し、下宿屋に一人暮らししていた)ので、この小説にあるような生活とはかなり程遠い。
言っちゃえば、私の生活の方が、一般性を欠く。私の生活の方が世間的には「はずれ値」だ。大体下宿している中高生、というのが、イマドキ少数派だわな。
にもかかわらず、切り取られる心情には はしばしでかなりハッとさせられた。
男子校って、スクール・カーストによって得られる報酬が隠蔽されるので良かったなあと思う。
私も文化系であるので、濃厚にセックスの存在を匂わせる体育会系の男女のありようを魅せつけられる生活は、きつかっただろうと思う。耐えられたか、どうか。そんなんがあったら、今よりもさらに屈折した性格になってしまいそうだ(なんだか、周りには「えー?今以上に?」とか言われてしまいそうだが)。
リリー・フランキーがよくエッセイで書いていて激しく同意するのが「若いころになんて一切戻りたくない!」というくだりである。いくら若くて前途洋洋で可能性は今より多くても、今よりも精神的には成熟しておらず、浮ついてわけわからずもがいていた、若いころは、今でも振り返ると人生の中で特別な魅力を放っているけれども、じゃあ戻れといわれても、戻りたくはないような気がする。自分が今比較的いい人生を送っている、という事なんだろうか。