半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『八月の路上に捨てる』伊藤たかみ (文藝春秋)

八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる

 芥川受賞作品。もう一つ前になってしまったのか。

 鷺沢萠葉桜の日』に読み味が似ているような気がしました。というか、単にこういう小説の読み味を比較出来るほど僕は沢山読んでいないので、外人がタコの刺身を食べて「Oh!ヒラメ ミタイデース!!」て言うてるようなものかもしれんが。

 ところで、文中でてくるウナギと梅干しですが、実は一緒に食べるとうまいんです。こってりした鰻の脂を梅の酸味が打ち消してくれるので、さっぱりと食べられる。昔下宿のおばさんがそうやって食わせてくれました。あの家では自家製の梅を漬けていた年代物があったので、そのうまさもあったのかもしれんが。
 しかし、あのおばさんは、あの時何を考えて鰻と梅を合わせて僕らに供したのか。その家の定番とかじゃなく、一度きりだったしなあ。なんか虫の居所でも悪かったんだろうか。