- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/09
- メディア: 単行本
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先輩に女医の人がいるのですが、この人はなかなか肝の据わった男前の人で、当直先で週刊現代とか、ポストだとかのおっさん雑誌を読むような方です(当直先で読むのは、さすがに自分では買わないせいです。)
で、世間話とかしていて、最近読んだ面白い本とか話していたわけですが、例えば角田光代とか、そういうイマドキの女性作家の作品は今ひとつおもしろく無いわーとひとしきりくさしたあとで、昔読んでよかった本として、これを挙げた。
城山三郎…
なんて期待を裏切らない人なんだ…
どこまでもおっさんなんですね……
で、図書館に置いてあったので読んでみました。
城山は会社小説という頭があったので、これはちょっと珍しい?「受験戦争」の話し。とはいえ三人称で語られるフィクションのようなノンフィクションのようなというスタイルはまごうかたなき城山スタイル。
……奥さんこわすぎ。そして視野せますぎ。
しかし冷戦の頃の「核戦争モノ」のSFを今読んでもぴんとこないのと同じで、学歴社会の単一価値性が相対化した今だから笑い話で済むのだ。この話はすでに解決した脅威を扱っているから、今なら安心して読み飛ばせるけれども、当時、決してこれすらも誇張じゃないような受験戦争は確かにあったのだ。
さすがに今読むとキャラクターがカリカチュアライズされすぎているなあという気がする。時代に警鐘を鳴らしてやろうという気概が走りすぎたのか、登場人物が城山の掌の上で翻弄されすぎるきらいがある。でも面白かった。