ものぐさ箸やすめ―アメリカと日本、男と女を精神分析する (文春文庫)
- 作者: 岸田秀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/05
- メディア: 文庫
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独自な精神分析理論を展開する岸田秀の、割と短めのエッセイの集積。まさに箸やすめ。この人は衒いがあるのかないのか、みもふたも無い題名がすきで、そんなところも岸田秀らしいといえましょう。
中学の時の政経の先生が岸田秀が好きで、つられてそのころ私も読み始めた。人格形成期の多くの部分でこの人の理論に淫していたためか、この「岸田理論」はもはや自分の中で当たり前になっているのだが、学会とか、そういうところでスタンダードになっているかというとそうではない。なぜかなと思っていたのだが、この人は(大学の先生のくせに)学術論文はまったく書かないらしい。そりゃスタンダードにならないはずだわ。
冷静に考えると、精神分裂病の「引き裂かれた自己」モデルは、精神分析の世界はともかく、精神医学ではまったく通用しないよな。
それにしても、うーん、なんだこの無力感にあふれた表紙絵は。