- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/09/03
- メディア: 文庫
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ベストセラーであるし、筋立てに関しては何も申しませんが、ふうわりとした気持ちになりました。読んでない人は是非読んだらいいと思います。すぐ読めるし。
川上弘美は、むずかしい言葉を使わないし、ひらがなが多いせいで、ぱっと見ると紙面が淡くやわらかく見える。一見なんでもない平易な文にみえるが、よく読むと相当練りこまれているように思う。うまい。同じうまさでも、たとえば石田衣良などは、文章のあちらこちらに、心に引っかかるフレーズをさながら刺のように植え付けてゆくことが文章の完成であると考えているようだが、対して彼女はやすりなどで磨き上げ、すべすべにならした文章こそが完成であると考えているかのようだ。
しかし、主人公からみたセンセイは、全然そっけないようにも見えるものの、よく考えてみたら、教え子だからって、普通はクラス名簿から探すか?と思うのだ。きわめて巧み、傷つかないようにたっぷりと保険をかけるようにして、しかし場をコントロールしているのは彼である。あんまりいいたくはないが、私にもそういう傾向は、ある。男のそういう行動を、川上弘美はすべて見抜いた上で、しかも否定しない。
ちなみに、この本を読んだ上で、もしドラマ化するなら二人は誰だろうと考えていたんです。脳内編成会議の上、主人公は深津絵里で、先生は三國連太郎でどうだと思ったのですが、
残念 正解はこちら→センセイの鞄 [DVD] でした。