- 作者: 黒田硫黄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/23
- メディア: Kindle版
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学生&独身の頃黒田硫黄の作品が結構すきだった。
一時期断筆(実は病気だったらしい)していたのだが、その頃の僕は結婚したり、子供が出来たりして、そういうマンガ的文物から遠ざかっていて、
自分としては気になりつつも、忘却の彼方へ。
『茄子』にしても『セクシーボイスアンドロボ』にしても、竜頭蛇尾のようでもあった。
プロットや構図、ダイアローグに、はっとする構成力が光る。
筆ペンのような荒いタッチで、一見ものすごくラフに書いているようで、しかし根底には確かな作画がある。
ものすごい上手い人の、ものすごい速い絵*1。
どちらかというと長大な構成力で魅せるタイプではなく、
短距離走者のような、瞬間最大風速の描き手。
物語は、そうですね手塚治虫の『アドルフに告ぐ』の舞台に近い。
日本とドイツ、Uボート、仮装巡洋艦。
戦前のドイツ、道端で大金の入ったトランクを拾った二人のドイツ青年…というところから、
第二次世界大戦という混沌を舞台として、話が転がり転がった挙げ句、行き当たりばったりなのか、狙いすましているのか、
平凡の青年の非凡な旅が終わる。
大法螺吹きの掌の上で転がされたような、奇妙な読後の快感がある。
戦争時代の閉塞感も、すこんと抜けた青空も。
あと、ドイツが緒戦大勝利、というのを絵で表現するのに、
パチンコ台を打っていて大当たりしているヒットラー(顔はあえて見えない)、としていて、
めっちゃ膝を打った。
これだけでもこの漫画を読んだ価値はあったかな*2。
参考:
アドルフに告ぐ
茄子
セクシーボイスアンドロボ