半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

"Maiden Voyage" Herbie Hancock

処女航海 (紙ジャケット仕様)

処女航海 (紙ジャケット仕様)

 おそらく、二十世紀のジャズ100選に、誰が選んでも残るであろう、超有名盤。もちろん聴いたことはあるし、昔テープやMDに落としては持っていたんですがCDはなぜか持っていなかったんで、安かった折に買いました。

 こう言っては、いけないかもしれないけど、商業主義に毒される前のハービー・ハンコックの、最高傑作だと思う。だって、イマドキのハンコックは、ライブをするのに、タイアップでもしているのか、やたら目立つ大きな腕時計をしたままピアノ弾くのはやっぱりどうかと思うわけですよ。

 私が愛聴しているのは、Speak Like a Child スピーク・ライク・ア・チャイルド、その次にEmpyrean Isles エンピリアン・アイルズ (紙ジャケット仕様) この辺は、小脳よりも大脳を使っている感じがします。ハンコックも、例えばNew Standardsとか、一からプロデュースするような時にはそうやって端正に作り込むのに、いわゆるセッションみたいな感じな戦場では、一転して手癖、手癖、手癖って感じになってしまう。
 インヴェンションズ・アンド・ディメンションズ (紙ジャケット仕様) これは個人的な意見ですが、最近のハンコックの(特にアップテンポの曲で)演奏は、このMaiden Voyageの系譜ではなくて、"Inventions and Dimensions"でやっていることに近いと思う。今のハンコックはもんのすごい高度な事をしているのは確かだけども、手癖だ。もの凄く高度な手癖。


 さて、話がそれましたが、久しぶりに聴いたMaiden Voyageは、やはり凄くいい。特に締めの曲のドルフィン・ダンスへ向かう一連の流れ。ジャズとか、全然聴かない人にも一度は聴いて欲しいなあと思います。買って損はしません。少なくとも、リラックスしてよく寝れると思う。ドルフィンダンスに限らず、このアルバム初出の曲の多くがその後のインストものスタンダードになっていることからも、このアルバムの影響力が改めて窺えます。

 また、こういう風に人の褌で相撲を取っているフレディー・ハバードは非常にいいプレイをします(自分名義のアルバムより)が、今回改めて聴き直したら、ジョージ・コールマンもいいと思いました。くぐもった音色ではあるけれども、ハバードとの絡み、ソロがいい。