- アーティスト: George Shearing
- 出版社/メーカー: Koch Records
- 発売日: 2002/03/12
- メディア: CD
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私の大学時代は、一言で言ってジャズ系クラブでジャズに没頭していた生活だったのですが、ジョージ・シアリングは在学中にはあまり聴いたことがなく、大学を卒業して、ジャズから遠ざかって初めて聴き始めました。
確かにジョージ・シアリングは、演奏を目指す人間にとって、刺激的な部分は少ない。今にして思えば、ジョージ・シアリングのピアノは(ジャズを問わず)職業的ピアニストのための方法論として最適解ではないかとさえ思いますが、その頃僕のいた軽音部ジャズは、そういうのは邪道とされていた。ジャズで「メシを食う」ことに対して、ある種の潔癖さがあった。
そういうのは、若者が目指すべき「ジャジー」さとは、ちょっと相容れないし、結局、シアリングはmusician's musicianではないということなのだろう。
ただ、ひとたびジャズ漬けの毎日を離れ、社会に出ると、疲れて帰ってきた時に聴くような音楽としては、たとえばセシル・テイラーなどは全く不向きである。Adrenergicな音楽よりも、Cholinergicなものを。そういう時に、ジョージ・シアリングはとてもよい対象に思えた。
というわけで、レパートリーはだんだん増えて、今では、自分の手持ちCDの中で、ピアノのリーダー作としては、シアリングは、ビルエバンスに次いで沢山持っている。ハンコックより多い。
ただ、このアルバムに関しては、かなりいただけない。上に書いたようなシアリングの悪い面ばっかりが出たようなサウンドだ。
だって、一曲目に、ジョンレノンの、Yesterdayですよ。しかもいかにもジャズですぅ〜といった感じにさらりとやりおる。ま、これこそがシアリングっぽさなのかもしれないけど、ちょっとこのアルバムは志が低すぎだ。
ジャケも、なんか竹村健一みたいだし。