- 作者: 藤堂志津子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/08
- メディア: 文庫
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バイト先の医局に放り投げられていたので読んでみる。前回の鷺沢といい、自分が読まないタイプの本を読む機会が最近多いわけですが、なんか頭の中の使い慣れていない筋肉を使っているような気がします。
ええと、9編の恋愛掌編なわけですが。
恋愛を主戦場とする女流作家の、しかも常に主人公が女性の作品を9編も読むと、なんだかどの話も作者本人の人生を読んでいるような気分になってしまう。あたかも、キュービズム技法によって書かれた藤堂志津子という作家の自画像であるかように錯覚する。田辺聖子とかを読んでもそうだ。
実際はそんなにすべて自分の人生からわき出るはずもなく、周囲にあるエピソードを想像力で補って完成させるのだろうと思う。あたかも現実であるかのように錯覚させられるのは、彼女らの職人的技術(心理描写のきめ細やかさなどは、やっぱり芸だなあと思うのであります)によるのだと思う。